「子犬を飼いたいのですが、無駄吠えしない子が希望です。」といったお声をよく聞きます。

これから子犬を迎えるのであれば、無駄吠えしない従順なワンちゃんを飼いたいと思うそのお気持ちはよく解ります。

ただ、それ以前の問題として、『無駄吠え』と呼ばれる行為自体が正しく理解されていないのも事実。

我々人間が言葉を発して会話をするのと同様に、犬たちにとって吠えることは何かを伝えようとするごく自然な行動です。

そうです、犬たちは意味も無くただ吠えているのではなく、感情表現や意思表示をする上でのひとつの手段として一生懸命伝えている(吠えている)のです。

飼い主さんにとって都合の悪い時に愛犬に吠えられると『無駄吠え』として片付けてしまい、なおかつその要因は愛犬側にあると考える風潮がありますが、それは人間側の勝手な言い分です。

それでは一体どういった吠え方のことを『無駄吠え』と呼ぶのでしょうか?

厳密な定義はありませんが、当サイトでは『本来吠えるべきではない状況下で吠えてしまう』行動こそが無駄吠えであり、犬たちがそういった行動を取る原因のほとんどは飼い主さんの誤ったしつけや接し方にあると考えています。

その無駄吠えとされる吠え方は大きく分けて次の2つのパターンが挙げられます。

1. 外敵を威嚇して吠えるパターン

犬の習性から、テリトリー(家の中や敷地内)に外敵(来客)が侵入して来た時に吠えるのは自然なことであり、状況によってはそれが必要とされる場合もあります。

その吠え続けている状態を飼い主さんが制止出来れば特に問題はないのですが、制止出来ないと人間にとって迷惑な行動、つまり『無駄吠え』となってしまいます。

解り易く例えると、飼い主さんをリーダーと認識しているワンちゃんは外敵の気配を察知すると、吠えながら飼い主さんにこのように報告してくれます。

「大変です!見知らぬ者が縄張りに侵入して来たようです!ご主人様、助けてください!」

信頼するリーダー(=飼い主さん)に“非常事態”を報告した群れのメンバー(=ワンちゃん)はリーダーからの「大丈夫だよ」といったひと言(いわば“非常事態解除宣言”)によって次第に冷静さを取り戻し、その吠え方が徐々に落ち着いていくのが本来の姿です。

しかしながら、飼い主さんをリーダーと認識していないワンちゃんが外敵の気配を察知すると、吠えながら飼い主さんにこのように伝えるのです。

「大変だ!見知らぬ者が縄張りに侵入してきたぞ!ここは私に任せてお前たち(=飼い主さん)は安全な場所に避難しなさい!」

自らが守るべく群れのメンバー(飼い主さんご一家)に避難を促した勇敢なボス(犬)は激しく吠えながら外敵を威嚇し、自分の縄張り(家)を守ろうとするのです。

つまり飼い主さんが愛犬を制止出来ていない後者のパターンが『無駄吠え』とされる吠え方のひとつなのです。

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2. わがままにより吠えるパターン

飼い主さんに何かを伝えようとして吠えるのはごく自然な行動なので何の問題もないのですが、それとは異なり単なるわがままで吠え続けるケースがあります。

いわゆる『要求吠え』と呼ばれるパターンです。

何かを伝えるために吠えているのと要求吠えとではその線引きが難しいこともありますが、明らかに度を越して制止が利かないのであれば無駄吠えとなってしまいます。

そういった要求吠えをするワンちゃんに育ってしまう一番の要因は“甘やかし”。

甘やかしてしまう状況はさまざまですが、「ハウスから出して!」「散歩に行こう!」「ゴハンちょうだい!」といったところではないでしょうか。

こういった些細なことでも子犬が催促する度に毎回応えてしまうと、それを積み重ねていくことによって要求吠えをするワンちゃんと化してしまうのです。

そうなることを防ぐためには、飼い主さんが子犬の都合に合わせて(要求に応えて)動くのではなく、基本的に日常生活のあらゆる場面において子犬を飼い主さんの都合(生活サイクル)に合わせさせることを心掛けましょう。


以上のパターンはどちらも子犬が飼い主さんよりも上位であると勘違いしていることが大きな要因のため、飼い主さんは無駄吠えをなかなか制止することが出来ません。

つまり、本来あるべき主従関係が築かれていないことの表れなのです。

次のページでは無駄吠えとされる行動が見られた場合の対処法についてお話ししていきましょう。

 

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【無駄吠え対策】2.無駄吠えの対処法