前のページでは子犬をしつける上で主従関係が非常に重要である理由を説明してきましたので、ここではその主従関係を本来あるべき姿に築いていく方法を解説していくことにしましょう。

まずここでポイントとなるのが主従関係は最初の接し方ですべてが決まるという点。

“最初の接し方”の“最初”とは子犬を迎える当日に飼い主さんと子犬が対面したまさにその瞬間から始まり、おおよそ最初の1ヶ月間の接し方でこれから10数年間続く愛犬との関係が決まると考えてください。

もう一度言います、最初の1ヶ月間が肝心なのです。

実際にカワイイ子犬を目の前にするとつい誘惑に負けて「最初はたくさん甘えさせてあげて、しつけはもうしばらく経ってからにしよう…」なんて考えてしまいがちですが、この考えこそが“失敗”の始まり。

ここはグッとこらえましょう。

家族の一員としての愛情を持って愛犬に接するのは大いに結構なことですが、あくまでも“人間とペット”という一定の距離感を保つことを忘れてはいけません。

要は飼い主さんがボスになれるか否かが今後のしつけの行方を左右するのです。

子犬は新しい家にやって来たその日からご家族みなさんの行動や生活パターンを観察しながら自分の置かれた立場を見究めていきますので、飼い主さんファミリーは初日から気を抜くことが出来ません。

もしこの段階でご家族みなさんで子犬を溺愛(特別扱い)してしまうと子犬は自分の立場を勘違いしてしまいます

その特別扱いが続くと子犬の“勘違い”はさらにエスカレートし、その結果として飼い主さんと愛犬の立場が対等(お友達関係)になってしまったり、状況によってはご家族みなさんが愛犬に見下されてしまって愛犬が一家のボスと化してしまうことだって起こり得るのです。

そうなってしまうと、いくら訓練士さんに矯正を依頼したとしても飼い主さんと愛犬との主従関係を本来あるべき姿に戻すのは至難の業で、結局のところ大きな効果は得られないのが現実…。

そうならないためにも、すべては子犬を迎えてから最初の1ヶ月間が勝負ということを肝に銘じておきましょう。

さて、それではその1ヶ月間を具体的にどうやって子犬に接していけば良いのでしょうか?

別にスパルタ教育など一切必要ありません。

では、一体何をすれば良いのでしょう?

その答えは『何もするな』です。

まぁ、これはちょっと極端な表現ですが、要するにこれまで通りの生活を送り、子犬を擬人化するなという意味で、そうすることによって子犬は自然とご家族みなさんのことを自分より立場が上だと認識してくれるのです。

“これまで通りの生活”とは子犬を迎えたことをあまり意識せずに、あえて子犬を迎える前の生活スタイルを変えないこと。

『子犬を迎えたことによりこれまでの生活スタイルが子犬の都合に合わせた生活スタイルに変わってしまう』のではなく、『これまで通りの生活スタイルの中に子犬が1匹加わっただけ』と考えればイメージし易いかもしれません。

そして“子犬を擬人化するな”とはその言葉通り子犬を人間扱いせずに、あくまでもペットとして扱うこと。

家族同様に大切な存在のペットであっても、やはり人間とは異なる生き物です。

これら2つのポイントを常に意識しながら普段の生活を送ることにより、主従関係が無理なく本来あるべき姿へと築かれていくのです。

そして、これは子犬だけでなく成犬にも共通して言えることなので、成犬になったワンちゃんをこれから飼い始める場合でも基本的には同じ接し方でOKです。

それでは、次のページでは主従関係の構築と並行してもうひとつ教えなければならない大切なことについて説明していきましょう。

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